2016年03月31日

退職の日

なんだかバタバタしている毎日ですが、気がつけば3月は今日で終わり。
午後の院内は、退職や異動で職場を離れる方々が、花束を手に挨拶回りをされていました。
その何となく華やかで、何となく寂しい光景の中に、チームで一緒に仕事をしていた検査科長や2人の看護副局長、夜尿症の子供達がお世話になった泌尿器科部長がいらっしゃいました。この春で無事に定年を迎えられました。

定年。
最近、たまに「残りの年数」を数えることがあります。
当地の医療職公務員は65歳定年ですが、なにせ子供は46歳で授かりましたから、普通に進めば彼女が大学に入ったあたりで定年になります。再雇用が可能なことが多く、それであと5年、70歳まで。
前職では60歳定年でしたから、それでは中学生で定年を迎えてしまいます。転職をした理由の1つは、ここにありました。
それでも、もし彼女が浪人したり、6年制や大学院などに進学して6年以上学生をするのなら、ぎりぎりかちょっと足りない。
親としては、なかなか悩ましいところです。
開業して10年になる先輩が、「私のクリニック、継承したら?」と声をかけてくださっていますが、割と真剣に考えてしまいます(でも、何歳で継承することになるんでしょう?)。今から独力開業は、公務員の身分保障や収入と開業後のそれとを天秤にかけると、ちょっと微妙。

父親とは、大人の事情というヤツで、中学から離れて暮らしていました。
彼は株式会社とは呼びにくい小さな事務所を運営していましたが、いつのまにか会社を離れフリーで仕事をし、さらにいつの間にかその仕事もリタイアしていました。
彼の中に「定年」はあったのか。とうとう最後まで、そんな話はできずに終わりました。
妻の父も自営の公認会計士で、齢70を超えましたが、まだのんびり仕事をされていますので、やはり「定年」にはなっていないような気がします。

好きな仕事があれば、やれる仕事があれば、気力があれば、無理をしない範囲で生涯現役、というのも素敵ですが、宮仕えであればどこかで一度区切りを付ける必要があります。
幸か不幸か僕はそれを身近に見てこなかったのですが、区切りを付ける、というのはどんな心持ちなのでしょうか。
惜しまれる退職ならば光栄なことですが、もしかしたら職場からは新陳代謝を促され、「やっと」とか言われてしまうのかもしれない。次の世代にバトンをうまく渡せていれば良いのですが、それで自分の存在が不要になってしまうと感じるのは、とても受け入れられないかもしれない。
自分のアイデンティティというものを考えると、仕事をして社会とつながっている人には、やはり仕事の上で必要とされる、ということがとても大きいのかもしれません。

いつもと違って彼の帰りを待ち受けて
玄関先でありがとうと言った
長い間ご苦労様とあらたまって手をついた

この「退職の日」を聴くたび、このフレーズで胸が熱くなります。
それが芝居染みた仕草であったとしても、家族にそう感謝をされるのなら、それはとても大きな心の支えになる。
自分の満足のために働いているところはあるにせよ、家族を守るために働いている部分もどこかにあるのなら、それを分かってもらえる幸せは、やはり自分のアイデンティティにつながります。
そして何より、無事にその日を迎えられるという幸せ。

公園のD-51(デゴイチ)は
愛する子供達の
胸の中でいつでも力強く
山道をかけ登っている
白い煙を吐いて力強く
いつまでもいつまでも

同僚達が、父親とこんな話をした、先輩医師としてこんなことを教わった、そんな話を嬉しそうにしている輪の中にいて感じた寂しさは、どこにでもあるお話の1つ。世の中には、坂道を力強く駆け上っていく蒸気機関車を知らない、もっともっと悲しくて寂しい人たちもたくさんいるわけですしね。
でも、みんなそれを乗り越えていかなくてはならないわけです。
そして、そうやって自分が坂道を駆け上って、もしこの先父親として、子供に大きいと感じてもらえる背中を見せられるのなら、それはとても幸せなことです。
そんな日を迎えられるように、足下の日々を精一杯に・・・
posted by GO at 23:19 | Comment(1) | TrackBack(0) | 雑文
この記事へのコメント
「定年オフ」とか「還暦オフ」をやる日も近いってことでしょうか。悠々自適とかバラ色のリタイア生活には憧れますが先立つものは必要だしねえ。私も自営業なので定年は無いはずですが、いつまで仕事があるかは別だし。
Posted by イワン at 2016年04月04日 15:48
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