2009年02月16日

天までとどけ

上層階に上って行くにしたがって明るくなってくる不思議な照明を持つエレベーターが止まると、目の前に空中庭園のようなロビーが広がります。
天気の良い午後ですから、自然光が降り注ぐロビーはとても明るく、足元に新宿の街並みを眺めながら、大勢のお客さんたちが午後のお茶を楽しんでいました。
ライブラリーを抜けた奥、ちょこっとテーブルで面談中、という雰囲気のフロントでチェックインを済ませると、滞在中の全てのスケジュールが提示されました。そういえばチェックインのときに、スパや食事の予約まで確認されたこと、今までにあったかなぁ。

「気合入れて泊まるならどっち?」と旅仲間に質問したら、彼女は半ば呆れながら「そりゃもちろんこっち」と即答したのでした。う〜ん、そうか。ラグジュアリー・ホテルの中でも、かなり気合入れないと泊まれない値段設定のホテルなんだけどなぁ…
それでも "My Cristal Valentine" なんていうプロモーションがあるので、福岡に遊びに行った際、ホテルのコンシェルジェに頼んでパークビュールームの予約を入れてみたのでした。ついでに、これが肝心のバレンタイン・特別ディナーも予約。でももう3週間前ですから予約は一杯で、窓側の席なんて望むべくもない。
まぁ、普通ならそうなんでしょうが、そこで引き下がれない理由がある(笑)。
福岡からの帰り、少し早めの便になったのを幸いに、そのまま新宿へ直行しました。
対応してくれたコンシェルジェは、ブロンドのとてもかわいい女の子でした。流暢に日本語を話す彼女は、僕の相談を聞くとわがことのように盛り上がる。それは楽しそうで、相談しているこちらまで、なんだか緊張はどこへやら、一緒に楽しんでしまいました。うん、確かにこのホテル、良いかも。

はやりの「婚活」(=結婚活動)で出会った2人は、お試し期間を過ぎて進むなら、その先は多分よほどのことがない限り結婚が待っているわけで、進まないと決めるなら別れるしかない。そんな条件に縛られているのですが、さて、ではこの人で良いとどこで決めるのでしょう。
先日の雑文についたコメントや友人達によれば、その意思決定の原動力は「勢い」のようですが、結婚を前提に出会った2人に、そんな勢いがつくものなのか、かなり疑問(と不安)に感じたのは事実でした。
運命の人を探して」という本の中で主人公は、それこそ沢山の人と出会っていくのですが、やはり「これだ」という決め手にかけるまま、運命の人を探す旅の中を彷徨っていました。最後に決めた人との出会いは、決して運命的な出会いではなく、ふと気づいたら隣にいた、といった印象なのですが、そんな出会い方というのは、やはりこれも運命という奇跡なのでしょうか。どうも1人が長いと、頭でっかちになっていけない(苦笑)。
僕自身はこの婚活の中で、「運命の人」と思う出会いがあったものの、これが予想外の結末に終わって、落ち込むわ、自信はなくすわで、やはり運命の人なんていないんじゃないか、とさえ思えたのでした。

出逢いはいつでも偶然の風の中。
僕は1歳違いで彼女の対象外だったし、僕は僕で迷いながら彷徨っている最中。そんな2人が出会ったのは、やはり小さな偶然の重なりの上でした。
迷いはいつまでも解消されるわけでもなく、時間だけが過ぎていったのですが、ふと気づくと毎朝届くメールを心待ちにしている自分がいました。
相手への夢や希望はお互いに持っていたのですけれど、譲れないと思う条件は、実はそれほどの意味を持たないのかもしれない。それに気付いた時にはすでに、答えが出ていたのかもしれません。

約束の時間に訪れた最上階のレストランでは、事前の情報とは違って、一段低くなったレストランの一番奥、2面を窓に接した一番静かな席に案内されました。聖バレンタインの夜、レストランは満席でしたけれど、確かにこの席なら文句はありません。
たわいもないおしゃべりと美味しい食事を楽しんだ最後、デザートを運んでくるイケメンのボーイさんが、彼女の肩越しに僕にアイコンタクトを送ってきました。だいじょうぶ。心の準備はできているから。
そっと彼女の前に置かれたデザートには、ホワイトチョコレートの板に、細いきれいなチョコレートの文字が並んでいました。
"Would you marry me?"

posted by GO at 23:26 | Comment(20) | TrackBack(0) | 雑文