2007年11月15日

人生の扉

もう歳だから、どこまで行けるのか自信がない。
そう言っていた齢76になる母は、子供たちの心配をよそに、いざエジプトに着いたら、意外と良く歩き、良く登り、笑っていました。
蒸し暑く狭いピラミッドの中も、日差しの照りつける王家の谷も、ハトシェプスト女王葬祭殿の長い階段も、見事に堪能していました。
自分でも結構驚いたようで、でも自信にもなったようです。帰国して、「やっぱり歩かなくちゃダメねぇ」と、昨日も今日も近隣を歩き回っています。何より。

20年以上になる狭心症に加えて、数年前には膝をひねったことに起因する肺動脈血栓症でまさに死に掛けた母は、故郷の横浜を離れて少しばかり田舎に暮らすようになってから、出歩く機会が減りました。
老いは足から、とよく言われるのですが、やはり歩かない、歩けない、というのは老いを加速させるのかもしれません。
ふっと気付くと、あぁ歳とったのね、と思わされることがあって、いまだに心配ばかりかけている愚息は、申し訳なくてそっと心の中で手を合わせるのでした。
あとどのくらい、一緒に暮らせるんだろう。
せめて元気なうちに、孫の顔くらい見せてあげたいと思ってはいるのですけれど、こればかりは一人じゃかなえられないしね。

さて、親が老いるということは、自分も歳をとっているわけです(涙)。
ここ1年、パソコンの画面を見て仕事をする場面が急増して、何となく細かい文字だの、薄暗いところでだの、見難いなぁと思うことがあって、これってもしかして… と深く傷ついていたのでした。
あげく、同じ年に生まれた友人は、彼の誕生日に寄せて、最近その日記で「男性更年期」とか書いてくれるわけです。
認めたくない事実(苦笑)。
本当に、信じられない速さで、時は過ぎ去ります。20歳になり、30歳になり、40歳になり、歳を重ねるごとに、どんどん加速度がついている気がします。
しかし思えば自分も、友人たちも、多分誰も自分たちのことを「おじさん」と自覚していないような気がして(笑)、永遠の青年…って、そりゃ無理があるよね(爆)。でも気持ちだけでも青年でい続けてみたいかな。

今回のタイトルの歌は、機内で聴きました。
旅の終わりでセンチメンタルになっていたのか、涙が出て止まらなかったのを覚えています。もう、イントロのピアノで泣けます。帰国して、早速楽天で注文しました。

I say it's fun to be 20
You say it's great to be 30
And they say it's lovely to be 40
But I feel it's nice to be 50

確かにそうだなぁ。
20代の楽しさ、30代になって少し仕事ができるようになったときの自信。
駆け抜けてしまったなぁ、と少し残念に思ったりします。もっとやりたいこと、やらなくちゃいけないことがあったように思うんですよね。何か大切なものを置き去りにしているような焦燥感を覚えます。
でも、そうか、40代は Lovely なんですね。下の年代にも、上の年代にも可愛がられる人であれば幸せなんでしょうか。

I say it's fine to be 60
You say it's alright to be 70
And they say still good to be 80
But I'll maybe live over 90

母は自分の部屋で、たまたま仕事の移動中に立ち寄った僕の目の前で、肺動脈血栓症を起こして倒れました。倒れるほどの血栓症だと致命的なことが多いのに、奇跡的に助かりました。きっとまだまだこっちに来ちゃダメだよ、と目の前のお仏壇の中から祖母たちが引きとめたに違いない、と回復したときに母とそっと感謝しました。
祖母たちの享年を越えた今、多分、80歳になっても、なんとかやっているような気がします。いや、そうであって欲しい、という、親不孝者の願望なのですが。

I say it's sad to get weak
You say it's hard to get older
And they say that life has no meaning
But I still believe it's worth living

老いる、ということは悲しいことなんでしょうか。
昨日までできたことができなくなる、ということは、寂しいことだけれど。
上手に歳を重ねる、というのは難しいことです。

けれど、「星くず」シリーズの中で何度も主人公たちが口にするのですが、生きている、ただそれだけで充分価値がある、と思うのです。
その価値を高めていくのか、低めてしまうのかは、その人の生き方にある。
人生の終焉を迎えたときに、心残りはあっても、後悔はしない人生を生きられたら幸せです。
デニムの青が、褪せていくほど味わいを増すように、沢山のしわを刻んで、僕らは輝いていられるでしょうか?
posted by GO at 09:06 | Comment(6) | TrackBack(0) | 雑文